老後資金作りで悩む方に多いのが、「iDeCoと通常投資、どちらで積み立てるべきか」という点です。特に加入年齢が高くなると、iDeCoのメリットが薄れる一方、通常の株式・ETF投資の方が効率的な場合もあります。ここでは、年齢ごとに100万円拠出した場合の運用シミュレーションを使いながら比較します。


前提条件

  • 拠出額:100万円
  • iDeCo運用:株式型投資信託(年平均利回り5%、税制優遇込み)
  • 通常投資:株式ETF(年平均利回り5%、課税あり)
  • 拠出期間:加入年齢から60歳まで
  • 単利ではなく、複利運用で計算

※実際の運用利回りは変動します。あくまでシミュレーション例です。


年齢別シミュレーション

25歳で拠出

  • 運用期間:35年
  • iDeCo受取額(税引前):約5,500,000円
  • ETF受取額(税引後20%控除):約4,200,000円
  • ポイント:長期運用で複利効果が最大化され、iDeCoの節税効果も大きい

35歳で拠出

  • 運用期間:25年
  • iDeCo受取額:約3,300,000円
  • ETF受取額:約2,500,000円
  • ポイント:複利期間は短くなるが、iDeCoの優位性は依然あり

45歳で拠出

  • 運用期間:15年
  • iDeCo受取額:約2,000,000円
  • ETF受取額:約1,500,000円
  • ポイント:複利効果はまだ残るが、短期化により差は縮小

55歳で拠出

  • 運用期間:5年
  • iDeCo受取額:約1,300,000円
  • ETF受取額:約1,200,000円
  • ポイント:短期間のため複利効果は限定的。通常投資の方が流動性は高く、運用効率で優位な場合も

60歳以降

  • 新規加入不可
  • ETFや投資信託で運用するのみ
  • 安全資産や債券・現金と組み合わせてリスク管理が中心

年齢別おすすめ戦略

年齢運用期間iDeCo向き度ETF向き度コメント
25歳35年長期複利+節税効果最大
35歳25年節税+複利効果あり
45歳15年短期化で差縮小、バランス運用推奨
55歳5年複利効果小、流動性重視でETF有利
60歳0年×新規加入不可、ETFや債券で安全運用

実践的アドバイス

  1. 20~40代前半
  • iDeCo+ETF/投資信託の併用が最も効率的
  • 複利と節税効果をフル活用
  1. 45~54歳
  • iDeCoは引き続き有効だが、通常投資で柔軟性確保
  • リスク資産比率をやや抑えて安定運用
  1. 55歳以降
  • iDeCo新規加入は可能だが運用期間が短いため、通常投資で運用効率重視
  • 安全資産との組み合わせを意識

まとめ

  • iDeCoは20~50代前半までが最も効率的
  • 運用期間が長いほど、複利効果と節税効果でETFより優位
  • 55歳以降は運用期間が短いため、ETFや投資信託の方が柔軟で効率的な場合もある
  • 年齢・ライフプランに応じて、iDeCoと通常投資をバランスよく組み合わせることが老後資金形成の鍵