はじめに

近年、資産分散の一環として金(ゴールド)への投資が注目されていますが、銀(シルバー)も魅力的な投資対象となり得ます。特に、金と銀は価格変動の特性が異なるため、ポートフォリオのリスクヘッジとして有効です。本記事では、日本国内で購入可能な銀ETF(上場投資信託)について、金との比較、積立投資の方法、主要証券会社での取引方法を詳しく解説します。

銀と金の違い:投資対象としての特性

価格変動とリスク

  • :世界的な経済不安時に価値が上昇しやすいとされ、安全資産と見なされることが多いです。
  • :産業用途が多く、経済活動の影響を受けやすいため、金よりも価格変動が大きい傾向があります。

需要と供給

  • :主にジュエリーや投資目的で需要があります。
  • :工業用途(太陽光パネル、電子機器など)が多く、需要の変動が価格に影響を与えます。

投資の目的

  • :資産の保全やインフレ対策としての投資が一般的です。
  • :価格変動を活かした短期的な投資や、金との相関性を利用したポートフォリオの多様化が目的となります。

日本国内で購入可能な銀ETFの紹介

日本国内で取引可能な銀ETFは、主に以下の2銘柄です。

1. [1673] WisdomTree 銀上場投資信託(現物連動型)

  • 運用会社:WisdomTree Japan株式会社
  • 上場市場:東京証券取引所
  • 特徴:現物の銀価格に連動した運用を行い、信託報酬が0.50%と比較的低めに設定されています。長期投資に適しています。
  • NISA対応:新NISAの成長投資枠対象商品ではありませんが、一般口座や特定口座での取引が可能です。

2. [1542] 純銀上場信託(現物国内保管型)

  • 運用会社:三菱UFJ国際投信株式会社
  • 上場市場:東京証券取引所
  • 特徴:現物の銀を国内で保管し、その価格に連動するよう運用されます。信託報酬は0.495%で、国内保管型のため安心感があります。
  • NISA対応:新NISAの成長投資枠対象商品であり、NISA口座での取引が可能です。

積立投資による銀ETFへの投資方法

積立投資は、ドルコスト平均法を活用し、価格変動リスクを平準化する手法です。以下に、月々1万円を積立てた場合のシミュレーションを示します。

積立額:月々1万円

  • 購入銘柄:SLV(米国上場ETF)
  • 積立期間:10年間
  • 想定年利回り:5%
年数積立総額想定評価額(円換算)評価益
1年12万円約12.6万円約6,000円
3年36万円約41.8万円約5.8万円
5年60万円約76.3万円約16.3万円
10年120万円約174.5万円約54.5万円

※上記シミュレーションは、年利回り5%での運用を想定したものです。実際の運用成績は市場動向により異なります。

主要証券会社での銀ETF取引方法と手数料比較

以下に、主要証券会社での銀ETF取引に関する情報をまとめました。

1. SBI証券

  • 取扱銘柄:国内ETF(1673、1542)、米国ETF(SLV)
  • 取引手数料:国内ETFは約定代金の0.11%(最低手数料55円)、米国ETFは約定代金の0.45%(最低手数料5ドル)
  • NISA対応:新NISAの成長投資枠対象商品に対応

2. 楽天証券

  • 取扱銘柄:国内ETF(1673、1542)、米国ETF(SLV)
  • 取引手数料:国内ETFは約定代金の0.11%(最低手数料55円)、米国ETFは約定代金の0.45%(最低手数料5ドル)
  • NISA対応:新NISAの成長投資枠対象商品に対応

3. 松井証券

  • 取扱銘柄:国内ETF(1673、1542)、米国ETF(SLV)
  • 取引手数料:国内ETFは約定代金の0.11%(最低手数料55円)、米国ETFは約定代金の0.45%(最低手数料5ドル)
  • NISA対応:新NISAの成長投資枠対象商品に対応

銀ETF投資のメリットとデメリット

メリット

  • 資産の多様化:金と銀は価格変動の特性が異なるため、ポートフォリオのリスクヘッジとして有効です。
  • 流動性の確保:上場しているため、取引所で容易に売買が可能です。
  • 透明性:運用内容や保有資産が公開されており、透明性が高いです。

デメリット

  • 価格変動リスク:銀は金よりも価格変動が大きいため、短期的なリスクが高いです。
  • 信託報酬:運用にかかる費用(信託報酬)がかかります。
  • 為替リスク:米国上場ETFの場合、為替変動によるリスクがあります。

まとめ

銀ETFへの投資は、金との価格変動の特性を活かし、ポートフォリオの多様化を図る有効な手段です。積立投資を活用することで、長期的な資産形成を目指すことができます。主要証券会社では、国内外の銀ETFを取り扱っており、NISA口座での取引も可能です。投資を始める際は、各ETFの特徴や手数料を比較検討し、ご自身の投資目的に合った商品を選択することが重要です。