雇用の入口で最も重要になる「労働条件の明示」について取り上げます。
実務でもトラブルの中心になる論点で、社労士試験でも頻出の基本条文です。


🧾 【条文】労働基準法 第15条(労働条件の明示)

1 労働契約の締結に際しては、使用者は、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
2 前項の規定に反して明示された労働条件が事実と相違する場合において、労働者が即時に労働契約を解除したときは、使用者は、当該労働者が被った損害を賠償しなければならない。
3 使用者は、前項の規定によって労働者が即時解除した日から十四日以内に、帰郷のため必要な旅費を負担しなければならない。


📝 【わかりやすい解説】

● ① 採用時の明示は「必ず」必要

採用段階で、賃金・労働時間・休日等を労働者に説明することは義務です。
実際の現場では、求人票と雇用契約書の内容が違うケースがしばしば問題になります。

● ② 条件が違っていたら即時解除できる

「説明された条件と実際が違った」場合、労働者には即時に契約解除を行う権利があります。
これは労働者保護のために特に強く認められている仕組みです。

● ③ 使用者は損害賠償と旅費負担の義務

即時解除となった場合、使用者には損害賠償責任が発生します。
さらに、帰郷に必要な旅費の負担まで義務づけられており、労働者の生活を守る立場が強調されています。


🔍 【実務的ポイント】

  • 雇用契約書の作成は必須
  • 求人票・面接で説明した内容とズレを作らないことが重要
  • 契約解除の可能性を減らすためにも情報の正確さが大切
  • 海外や地方求人の際は「旅費負担リスク」を理解しておく必要がある
  • トラブルを避けるため、変更がある場合は都度書面で提示するのが望ましい

💡 【まとめ】

第15条は、労働契約の入口での透明性を確保するための根幹となるルールです。
シンプルな条文ですが、実務でも頻繁に争点になるため、社労士として確実に押さえておきたい重要論点です。