代用有価証券とは、保有している株式・ETF・投資信託などを担保として信用取引やFX取引に活用できる仕組みです。
現金を追加せずに取引資金を増やせる便利な制度ですが、証券会社ごとに対応範囲・掛目・操作方法・注意点が大きく異なるため、実務で活用するには正確な理解が不可欠です。
ここでは、代表的な証券会社である SBI証券、DMM FX / DMM証券、楽天証券 を徹底比較し、操作手順やリスク管理のポイントまで詳細に解説します。
目次
1️⃣ SBI証券
🔹 対応範囲/サービス
- 信用取引で利用可能:国内株式・ETF・投資信託・米国株まで幅広く代用でき、現金を用意せずに信用取引の資金を増やせます。
- 銘柄ごとの掛目・除外対象が明確:公式サイトで確認可能で、事前チェックにより想定外リスクを防止できます。
🔹 掛目・評価率
- 原則80%の評価額が担保価値として算出されます。
- 銘柄により 50%に引き下げられる場合 があるため、事前確認が必須です。
- 米国株も同様に掛目が設定され、市場変動により評価額が変動するため、定期的な担保価値チェックが必要です。
🔹 操作手順
- 「代用振替」操作が必要:NISA口座以外の株式・投信を代用する場合は振替を忘れないことが重要です。
- 米国株も振替が必要で、操作を理解することでスムーズな運用が可能になります。
🔹 リスク管理・注意点
- NISA口座の株式・投信は代用不可(掛目0%)
- 掛目引き下げによる追証・不足金リスク が存在するため、定期確認と余裕資金の確保が推奨されます。
- 市場変動による評価額減少に備え、現金や追加担保の準備計画を立てることが重要です。
2️⃣ DMM FX / DMM証券
🔹 対応範囲/サービス
- FX口座で株券担保サービスを提供:保有株式を証拠金として利用可能で、現金を追加せずにFXポジションを拡大できます。
- 信用取引でも国内株・米国株を担保に差し入れ可能で、FXと信用取引を組み合わせた効率的な資金運用が可能です。
🔹 掛目・評価率
- 例:保有株の70%相当額を証拠金として利用可能
- 銘柄や市場状況によって掛目が変動する場合があるため、公式情報での事前確認が必須です。
- 掛目変動により、証拠金として利用できる額が減少することもあります。
🔹 操作手順
- 振替操作が必要:FX口座や信用取引口座に反映するには手動操作が必要です。
- 操作を誤ると証拠金として認められず、取引制限や損失リスクが発生する場合があります。
🔹 リスク管理・注意点
- NISA口座の株式は代用不可
- 市場変動や掛目変更による追証リスクがあるため、定期的に評価額・担保価値を確認して、追加資金を準備することが重要です。
- FX・信用取引の両方でリスク管理計画を立て、取引数量を慎重に設定してください。
3️⃣ 楽天証券
🔹 対応範囲/サービス
- 「らくらく担保」機能:株式・投資信託を証拠金/担保として自動振替可能で手続きが簡略化されます。
- 信用取引での代用可能ケースあり:FX口座では現状未対応のため注意が必要です。
🔹 掛目・評価率
- 公式情報では掛目非公開
- 口座設定や預かり区分により、代用可否や証拠金価値が変動するため、事前確認が重要です。
🔹 操作手順
- 自動振替により証拠金として反映されますが、口座設定や預かり区分によって代用不可の場合があります。
🔹 リスク管理・注意点
- FX口座への代用は未対応
- 信用取引で利用する場合も、口座区分や振替設定を確認
- 担保価値が想定より低くなる可能性があるため、定期確認で追証リスクを最小化します
🔍 詳細比較表
証券会社 | 対応範囲/サービス | 掛目・評価率 | 操作手順 | リスク管理・注意点 |
---|---|---|---|---|
SBI証券 | 信用取引:株・ETF・投信・米国株 | 原則80%(銘柄により50%) | 「代用振替」操作必須 | NISA不可。掛目引下げで追証リスク。定期確認必須 |
DMM FX / DMM証券 | FX・信用取引:国内株・米国株 | 例:70%相当額 | 振替操作必須 | NISA不可。掛目変更や市場下落で追証リスク。定期確認必須 |
楽天証券 | 信用取引:株・投信(らくらく担保) | 掛目非公開 | 自動振替(口座設定により可否変動) | FX代用未対応。担保価値が低下する可能性。事前確認必須 |
実務のポイント
- 代用有価証券活用前に、口座区分・対象銘柄・掛目・振替手順を確認
- 掛目は市場動向や銘柄特性で随時変動するため、追証リスク管理が必須
- NISA口座株式はほとんど代用不可。誤って含めないよう注意
- 定期的に残高・担保価値を確認し、必要に応じて現金追加やポジション調整で安全運用