はじめに
ペットとの触れ合いが「癒し」をもたらす理由として、近年注目されているのが オキシトシン と呼ばれるホルモンです。
「幸福ホルモン」「愛情ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンは、人間関係やスキンシップ、そしてペットとの触れ合いでも分泌が促され、心身のリラックスや幸福感に大きく関わります。
本記事では、オキシトシンの仕組みやペットとの関わりで得られる効果を科学的に解説します。
1. オキシトシンとは
オキシトシンは脳の下垂体後葉から分泌されるホルモンで、次のような特徴があります。
- 愛情・絆を形成する作用
母親が赤ちゃんと触れ合うと分泌され、親子の絆を深める - ストレス軽減効果
血圧低下、心拍安定、コルチゾール抑制などの作用 - 社会性や信頼感を促進
他者との共感や協力行動が促される
このため、人間関係や心理的健康に欠かせないホルモンとして注目されています。
2. ペットとの触れ合いとオキシトシン
2-1. 犬とのスキンシップ
研究によると、犬と1日15分程度スキンシップを行うだけで、人間のオキシトシン濃度が有意に上昇することが報告されています。
アイコンタクト、撫でる行為、言葉がけのすべてが効果に寄与します。
2-2. 猫とのふれあい
猫の場合も同様に、膝の上で撫でたり、ゴロゴロ音を聞いたりすることでオキシトシンが分泌されます。
特に猫は静かで穏やかな存在感が副交感神経を刺激し、リラックスを促します。
2-3. 小動物・観賞魚との関わり
うさぎ、ハムスター、熱帯魚など、ペットの種類に関わらず、触れ合いや観察を通して「安心感」が得られる場合、オキシトシンが分泌されることが示唆されています。
3. オキシトシンの心理的効果
ペットとの触れ合いによって分泌されるオキシトシンには、以下のような心理的効果があります。
- 幸福感の向上
- ストレス・不安の軽減
- 孤独感の緩和
- 自己肯定感の向上
実際、慢性的なストレスを抱える人が犬や猫と触れ合うことで、日常生活の満足度が高まったという調査結果もあります。
4. オキシトシンと身体への作用
オキシトシンは心理面だけでなく、身体面にも多くの影響を与えます。
- 血圧・心拍数の低下:緊張状態からリラックス状態へ移行
- 免疫機能の向上:ストレスホルモンの抑制による自然免疫の安定
- 睡眠の質改善:安心感が副交感神経を刺激し、深い睡眠を促進
このように、ペットとの触れ合いは「心を癒すだけでなく体も整える」効果があるのです。
5. オキシトシンを増やす日常の工夫
ペットとの時間をより効果的にするための工夫をいくつか紹介します。
- 毎日のスキンシップ
朝晩の撫でる時間を習慣化するだけで、オキシトシンの分泌が安定します。 - アイコンタクトを意識する
犬や猫と目を合わせるだけでもオキシトシンが増加します。 - 触れるだけでなく話しかける
穏やかな声で話しかけると、安心感が増し、ホルモン分泌が促されます。 - 観察する
小動物や熱帯魚の行動を眺めるだけでもリラックス効果が期待できます。
6. 注意点
オキシトシンの効果を享受するためには、ペットに負担をかけないことが重要です。
- 過剰な撫で方やストレスを与える行為は逆効果
- 動物の健康管理・休息を確保する
- 無理のない時間で触れ合う
飼い主もペットも、双方にとって心地よい関わりを心がけることが、真の癒しにつながります。
まとめ
オキシトシンは、ペットとの触れ合いを通じて分泌される「幸福ホルモン」です。
- 心を落ち着け、幸福感を高める
- ストレスや不安を軽減する
- 身体の健康も整える
次回、第5回では 「孤独・不安を和らげるペットの力」 をテーマに、特に高齢者や一人暮らしの人にとっての癒しの実践を詳しく紹介します。
✍️ 今日、あなたのオキシトシンを増やすために、ペットとどんな時間を過ごしますか?