温泉といえば「東の草津、西の有馬」と並び称されるように、関西以西にも全国に誇る名湯が数多く点在しています。今回はその中でも特に人気の高い 関西・中国・四国地方の温泉地 を取り上げ、それぞれの泉質や効能、観光の魅力、歴史や文化的背景などを詳しくご紹介いたします。旅の目的に合わせた温泉選びの参考にしていただければ幸いです。


1. 有馬温泉(兵庫県)

泉質・効能

有馬温泉は日本最古の温泉ともいわれ、約1400年もの歴史を誇ります。特徴的なのは「金泉」と「銀泉」という2種類の泉質が存在すること。

  • 金泉:鉄分と塩分を多く含む赤褐色の湯。冷え性や貧血、神経痛の改善に効果が期待されます。
  • 銀泉:炭酸泉やラジウム泉で、無色透明。新陳代謝を促し、美肌効果や疲労回復が期待できます。

観光の楽しみ方

温泉街には足湯や飲泉場が点在し、浴衣姿で散策するだけでも楽しい時間を過ごせます。六甲山へロープウェイで登れば神戸の夜景を一望でき、食事は温泉まんじゅうや炭酸煎餅が名物。温泉と街歩き、グルメが一度に味わえるのが有馬の魅力です。

アクセス

神戸電鉄「有馬温泉駅」から徒歩5分。大阪や京都からもアクセスしやすく、日帰り旅行としても人気です。


2. 城崎温泉(兵庫県)

泉質・効能

ナトリウム・カルシウム-塩化物泉で、神経痛や筋肉痛、冷え性、疲労回復など幅広い効能があります。

観光の楽しみ方

「外湯めぐり」が城崎温泉最大の特徴。7つの外湯それぞれに個性があり、宿泊者は浴衣と下駄で町を歩きながら湯めぐりを楽しめます。川沿いの柳並木や赤い橋が風情を添え、冬にはカニ料理が名物として観光客を惹きつけます。

アクセス

JR「城崎温泉駅」から徒歩5分と好立地。大阪から特急「こうのとり」で直通アクセスできるため、週末旅行にも最適です。


3. 湯原温泉(岡山県)

泉質・効能

泉質は単純温泉で、刺激が少なく幅広い年代に親しまれています。神経痛・関節痛・疲労回復などに効果的。

観光の楽しみ方

特筆すべきは旭川河畔に広がる「砂湯露天風呂」。日本屈指の規模を誇る混浴露天風呂で、自然と一体になった開放感が魅力です。温泉街を散策したり、周囲の渓谷美を楽しむこともできます。

アクセス

中国自動車道「落合IC」から約40分。公共交通利用ならJR米子駅からバスや車で約1時間と、観光ドライブとあわせて訪れるのに向いています。


4. 道後温泉(愛媛県)

泉質・効能

ナトリウム・カルシウム-塩化物泉で、神経痛や冷え性、美肌効果が期待できる「肌にやさしいお湯」。

観光の楽しみ方

シンボルは何といっても「道後温泉本館」。明治時代に建てられた木造建築は国の重要文化財で、宮崎駿監督のアニメ映画の舞台イメージにもなったとされるほど有名です。商店街散策や「坊っちゃん列車」乗車体験も人気で、温泉と観光が密接に結びついた町です。

アクセス

JR松山駅から路面電車で約25分。松山空港からもアクセス良好で、四国観光の拠点に便利です。


5. 祖谷温泉(徳島県)

泉質・効能

単純温泉で刺激が少なく、長時間ゆったり入浴できるのが特徴。リラックス効果が高く、日頃の疲れを癒やしてくれます。

観光の楽しみ方

祖谷渓谷に面したケーブルカーで降りる絶景露天風呂が有名。四季折々の渓谷美を眺めながら入る温泉は格別です。近くには「かずら橋」という蔓で編まれた吊り橋があり、スリル満点の観光スポットとして人気を集めています。

アクセス

JR大歩危駅から車で約40分。山深い秘境にあるため移動はやや大変ですが、その分非日常的な体験が得られます。


まとめ

今回は 関西・中国・四国地方の5つの温泉地 をご紹介しました。

  • アクセスが良く、歴史と伝統を感じられる「有馬温泉」
  • 風情ある町並みと外湯めぐりが魅力の「城崎温泉」
  • 自然と調和した開放的な露天風呂「湯原温泉」
  • 四国観光の中心地で歴史建築が楽しめる「道後温泉」
  • 渓谷の絶景に浸れる秘境「祖谷温泉」

それぞれ泉質や効能が異なり、温泉の入り方や観光の楽しみ方も多彩です。週末の小旅行からじっくり滞在まで、旅のスタイルに合わせて訪れる場所を選べるのが、この地域の大きな魅力といえるでしょう。

次回は、火山活動と深い歴史が育んだ 九州地方の名湯特集 をお届けする予定です。どうぞご期待ください。