おはようございます!
前回は「鍼灸とは何か?」についてお話ししました。
今回は、多くの方が悩んでいる 肩こり をテーマにしながら、実際に使われる 鍼の種類 にも触れて、より深く鍼灸の世界を紹介していきます。


肩こりが起こる仕組み

肩こりは、首から肩、背中にかけての筋肉が緊張し、血流が悪くなることで起こります。特に現代人はパソコンやスマホで前傾姿勢になりがちで、筋肉が硬直しやすいのが特徴です。

また、精神的ストレスや自律神経の乱れも肩こりを悪化させる要因です。鍼灸ではこれを「気血の滞り」ととらえ、ツボを刺激して流れを改善し、体のバランスを整えていきます。


鍼灸でよく使われる肩こりのツボ

ここでは代表的なツボを紹介します。

① 肩井(けんせい)

  • 場所:首と肩の中間点。肩をつかんだときに指が当たる位置。
  • 効果:肩こり全般、頭痛、首の疲れに有効。
  • 刺激方法:親指で押し込み、深呼吸しながら10秒圧迫。

② 合谷(ごうこく)

  • 場所:手の甲、親指と人差し指の骨が交わるくぼみ。
  • 効果:肩こり、頭痛、眼精疲労、ストレス緩和。
  • 刺激方法:反対の親指でじっくり押す。

③ 風池(ふうち)

  • 場所:後頭部の髪の生え際、首の太い筋肉の外側。
  • 効果:肩こり、眼精疲労、不眠に有効。
  • 刺激方法:両親指を当てて後頭部を支えるように押す。

④ 天柱(てんちゅう)

  • 場所:首の後ろ、髪の生え際の中央からやや外側。
  • 効果:頭痛、肩こり、自律神経の乱れに効果的。
  • 刺激方法:風池と同様に押し込む。

自宅でできるセルフケア

ツボ押し

  • 1日2〜3回、気づいたときに実施
  • 「痛気持ちいい」程度の圧で10秒キープ
  • 深呼吸とセットで行うと効果大

温める

  • 蒸しタオルやホットパックを首・肩にあてる
  • お風呂でゆっくり温めて血流改善

ストレッチ

  • 肩を大きく回す
  • 首を左右・前後に倒して筋肉を伸ばす

呼吸法

  • 腹式呼吸で副交感神経を優位に
  • 緊張をゆるめ、肩こりを悪化させない

鍼の種類と特徴

鍼と一口にいっても、実はさまざまな種類があります。施術の目的や部位によって使い分けられます。

鍼の太さと長さ

  • 太さ:髪の毛ほど(0.12mm)から少し太め(0.30mm程度)まで
  • 長さ:1cm程度の短いものから、10cmを超える長いものまで
    → 肩こりには2.5cm〜4cm程度の鍼が多く使われます。

日本鍼と中国鍼の違い

  • 日本鍼:細くて柔らかく、刺激が穏やか。痛みが少ない。
  • 中国鍼:やや太くて硬め。刺激が強めで深く刺すことが多い。
    → 日本では繊細な刺激を好む傾向が強く、日本鍼が主流です。

素材の違い

  • ステンレス製(最も一般的、使い捨て可能)
  • 金鍼(柔らかい刺激で敏感な人向け)
  • 銀鍼(鎮静作用が期待され、神経過敏の人に使われることも)

ディスポーザブル鍼

現在は感染防止のため、使い捨て(ディスポーザブル)鍼がほとんど。安全性が高く、初めてでも安心です。


鍼灸と肩こりの科学的根拠

近年の研究では、鍼灸が肩こりや首の痛みに有効であることが報告されています。

  • 筋肉の硬さを和らげる
  • 血流を改善し、酸素・栄養を届ける
  • 脳内の「エンドルフィン」分泌を促し痛みを抑える

このような作用により、肩こりの改善だけでなく、全身のリラックス効果も得られるのです。


精神的な効果

肩こりは肉体的な問題だけでなく、精神的ストレスとも深く関係しています。鍼灸は以下のような効果も期待できます。

  • ストレス緩和:副交感神経が優位になり心身が落ち着く
  • 不眠改善:睡眠の質が向上する
  • 不安・抑うつの軽減:神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン)の分泌に関与する可能性

そのため、鍼灸は「体と心の両面からアプローチできる」療法として注目されています。


実際の施術の流れ(肩こりの場合)

  1. 問診で生活習慣や痛みの程度を確認
  2. 肩井・合谷・風池などに鍼を施術
  3. 必要に応じてお灸で温熱刺激を追加
  4. 施術後は体が軽くなり、眠りが深くなることも

まとめ

  • 肩こりは血流悪化やストレスで悪化する
  • 鍼灸では肩井・合谷・風池・天柱などのツボを用いる
  • 自宅ケア(ツボ押し・ストレッチ・温熱法)で改善を助けられる
  • 鍼には「太さ」「長さ」「素材」「国の違い」があり、症状や体質に合わせて使い分けられる
  • 鍼灸は肉体的・精神的の両面に効果が期待できる

次回は「不眠や自律神経の乱れへの鍼灸アプローチ」を紹介予定です。


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