1. 精油とは何か

精油(エッセンシャルオイル)とは、植物の花・葉・果皮・樹皮・樹脂・根などから抽出される揮発性の芳香成分です。単なる香りとして楽しむだけでなく、その成分による生理作用や心理作用、健康への効果もアロマテラピーでは重視されます。

精油の作用は化学成分に基づいており、主に「テルペン類」「フェノール類」「アルデヒド類」「アルコール類」などに分類されます。それぞれの成分が持つ作用を理解しておくことは、試験対策だけでなく、実際のアロマテラピーでの活用にも役立ちます。


2. 精油の主な化学成分と作用

2-1. モノテルペン類

  • 代表例:リモネン(レモン・オレンジなどの柑橘系)、α-ピネン(松葉の香り)
  • 作用:鎮静、抗菌、消化促進、リフレッシュ効果
  • ポイント:柑橘系の爽やかな香りはモノテルペン類であることを覚えると、成分と香りの関連付けがしやすくなります。

2-2. セスキテルペン類

  • 代表例:カリオフィレン(クローブ、ブラックペッパー)
  • 作用:抗炎症、鎮痛、血行促進
  • 特徴:スパイシーで重厚感のある香りに多く含まれる成分です。血行促進やリラックス作用があり、マッサージオイルにも適しています。

2-3. フェノール類

  • 代表例:チモール(タイム)、オイゲノール(クローブ)
  • 作用:強力な抗菌・殺菌作用
  • 注意:原液では皮膚刺激が強いため、必ずキャリアオイルで希釈して使用することが必要です。
  • 試験ポイント:抗菌力が強い精油の多くはフェノール類を含むことを覚えましょう。

2-4. アルデヒド類

  • 代表例:シトラール(レモン、レモングラス)、シナール(シナモン)
  • 作用:抗菌・抗ウイルス、リフレッシュ・リラックス効果
  • コラム:レモングラスの香りは「朝のリフレッシュ」としてイメージしやすく、覚えやすいです。
  • 試験ポイント:レモンやレモングラスなど、柑橘系精油の中でもアルデヒド類の存在に注目。

2-5. アルコール類

  • 代表例:リナロール(ラベンダー、ローズ)
  • 作用:鎮静、抗不安、肌の再生促進
  • 特徴:穏やかな香りでリラックス効果が高く、スキンケアや芳香浴に向いています。

3. 精油の抽出方法の詳細

精油は抽出方法により香りや成分構成が変わるため、試験でも押さえておく必要があります。

3-1. 水蒸気蒸留法

  • 花・葉・樹皮などを蒸気で加熱し、香り成分を水と一緒に蒸留
  • 特徴:精油の純度が高く、化学成分が比較的安定
  • 用途:ラベンダー、ユーカリ、ローズマリーなど

3-2. 圧搾法(コールドプレス法)

  • 柑橘系の果皮を物理的に圧搾
  • 特徴:フレッシュな香りを損なわない
  • ポイント:レモン、オレンジ、グレープフルーツなど、柑橘系精油は圧搾法で抽出されます。

3-3. 溶剤抽出法

  • 有機溶剤で香り成分を抽出し、溶剤を蒸発させる
  • 特徴:蒸留では壊れやすい香り成分を濃厚に抽出
  • 用途:ローズ、ジャスミンなど、香りが繊細な花に使用

3-4. CO2抽出法

  • 高圧の二酸化炭素で香り成分を抽出
  • 特徴:溶剤を使わず、精油成分がほぼ完全に保持される
  • 試験ポイント:高級精油の抽出法として覚えておくと良いです。

4. 精油の種類と特徴(覚え方のコツ)

4-1. 柑橘系精油

  • :レモン、オレンジ、グレープフルーツ
  • 香り:爽やかで明るい
  • 作用:リフレッシュ、集中力アップ、消化促進
  • 暗記コツ:「朝に嗅ぐとシャキッとする」イメージで記憶すると定着しやすい

4-2. ハーブ系精油

  • :ペパーミント、ローズマリー、タイム
  • 香り:清涼感やスパイシーさ
  • 作用:抗菌、血行促進、覚醒作用
  • ポイント:料理やハーブティーでも馴染みがある香りをイメージすると覚えやすい

4-3. 花系精油

  • :ラベンダー、カモミール、ローズ
  • 香り:甘くフローラル
  • 作用:鎮静、リラックス、肌への働きかけ
  • コラム:就寝前にラベンダーを使うとリラックスできる、という日常の体験で覚える

4-4. 樹木系精油

  • :ティートリー、ユーカリ、サンダルウッド
  • 香り:ウッディで落ち着く
  • 作用:抗菌、抗ウイルス、リフレッシュ
  • 覚え方:森や木の香りをイメージすると効果と香りが結び付きやすい

5. コラム:化学成分を生活で覚えるコツ

  • 精油の化学成分は暗記しづらいですが、香りや効果とセットで覚えると効率的です。
  • 例:ラベンダー=リナロール=鎮静
  • 例:ペパーミント=メントール=爽快・覚醒
  • 生活の中で「朝に柑橘系でリフレッシュ」「夜にラベンダーで鎮静」と実際に使ってイメージすると、試験の暗記も格段にラクになります。
  • 試験ポイント:化学成分と作用を1対1で覚えることが合格への近道です。

6. 試験対策まとめ

  1. 化学成分ごとの作用を理解する
  2. 抽出法と種類の組み合わせを押さえる
  3. 香り・植物・作用のイメージで記憶する
  4. 過去問で確認し、暗記だけでなく理解で覚える
  5. 生活体験と結びつけることで記憶が定着しやすい

7. 次回予告

第3回では、代表的な精油の効能と使い方①として、ラベンダー・ペパーミント・レモンなど、日常でよく使われる精油の実践的活用法を解説します。
試験に出やすい効能と安全な使用法をしっかり押さえ、実生活でも役立つ知識として身につけましょう。