こんにちは。今回から銀投資に関する連載をスタートします。本シリーズでは、銀市場の基礎知識から具体的な投資手法、ETFや現物の購入手順、リスク管理までを順に解説していきます。

今、なぜ銀なのか?

  • 世界的なインフレ懸念や経済不安が続く中、銀は希少性と実物資産としての価値を持ち、通貨的価値が下がりにくい特徴があるため、ポートフォリオの安全弁として注目されています。
  • 銀は工業用途での需要が高く、太陽光発電パネルや電子機器の製造に欠かせない材料であることから、経済成長と技術革新の恩恵を受ける資産として魅力があります。
  • 金に比べて価格変動が大きく、短期的な投機チャンスもあるため、現物保有やETF投資を組み合わせることで、安定的かつ柔軟な投資戦略が立てやすいというメリットがあります。
  • 歴史的に見ても、金融危機やドル安の局面で銀価格が急騰する傾向があることから、現金や株式と組み合わせた分散投資の一環として、リスクヘッジ効果が高い資産として注目されています。

第1回目は、こうした背景を踏まえつつ、実際に銀投資を始めるための具体的手順とおすすめ銘柄に焦点を当て、初心者でもすぐに行動できる内容を網羅しています。


1. 投資対象となる銀の種類

1-1. 現物

  • 銀地金(バール)や銀貨を購入して自宅や貸金庫に保管する方法は、物理的に資産を手元に置くことで安心感が得られ、世界経済や為替の影響を直接感じることができる投資スタイルです。
  • 信頼性の高い銀地金ブランドとしては、国内流通量が多く品質管理が徹底された 三菱マテリアル銀地金 や、小口購入が可能で購入後も品質保証がついている 田中貴金属銀地金 があり、初めての購入でも安心して選ぶことができます。
  • 投資用銀貨の代表例としては、世界的に流通量が多く換金性が高い アメリカン・シルバー・イーグル(1オンス) や、カナダ製で純度が高く美しいデザインを持つ カナディアン・シルバー・カエデ(1オンス) などがあり、コレクション性と投資性を兼ね備えています。

1-2. ETF(上場投資信託)

  • 銀の現物価格に連動して値動きする金融商品であり、少額から購入可能で売買の自由度も高いため、現物保有に比べて手軽に投資できるメリットがあります。
  • おすすめETFとしては、世界最大規模で流動性が高く、米国市場で1株単位から取引できる iShares Silver Trust (SLV) や、現物裏付けで安定感があり短期売買にも向く Aberdeen Standard Physical Silver Shares (SIVR) があり、投資目的に応じて選択可能です。
  • 国内で購入可能なETFとしては、東証上場で日本円建ての 純銀上場信託(1540) があり、国内証券会社の口座から簡単に購入できるため、初めての方でも手軽に銀投資を始められます。

2. 現物購入の具体手順

  1. 販売店・証券会社を選定
  • 信頼性のある販売店を選ぶことは極めて重要で、田中貴金属や三菱マテリアルなど、歴史と実績があり買取・販売の価格情報が透明な企業を選ぶことで、購入後の資産価値や売却時のトラブルを避けることができます。
  • 手数料や買取価格の差は数%単位で利益に影響するため、事前に比較検討して最もコストパフォーマンスの高い販売店を選ぶことが望ましいです。
  1. 購入単位・数量を決定
  • 初心者は1オンス単位で少額から購入し、価格が変動した場合でも心理的負担を抑えながら投資経験を積むことができます。
  • また、複数回に分けて購入することで平均取得価格を平準化でき、価格変動リスクを抑えるドルコスト平均法の効果を得ることも可能です。
  1. 購入方法
  • 店舗購入の場合は現物を直接手に取れる安心感がありますが、自宅での保管場所や安全対策が必要となります。
  • ネット購入の場合は宅配で受け取り可能で、配送時の保険が付帯する場合もあるため、盗難や紛失のリスクを抑えることができます。
  1. 保管・管理
  • 自宅保管では、防犯対策や火災対策を徹底することが必要であり、耐火金庫や隠し収納などの工夫が求められます。
  • 貸金庫を利用する場合は、月額費用が発生しますが、保管の安全性が格段に高まり、資産保全の観点からも安心です。

3. ETF購入の具体手順

  1. 証券口座の開設
  • 国内主要証券会社(SBI証券、楽天証券、松井証券など)で口座を開設することで、国内ETFの購入や積立が可能になります。
  • 米国ETFを購入する場合は、米国株取引に対応した口座が必要で、為替手数料や取引手数料も事前に確認しておくことが重要です。
  1. 購入銘柄の選定
  • SLVは米ドル建てで流動性が高く、短期売買や流動性確保に適しており、世界市場の価格動向を反映しやすい特徴があります。
  • 1540(純銀上場信託)は日本円建てで国内証券口座から簡単に購入でき、少額から始めやすいため、初心者の長期保有に向いています。
  1. 購入タイミングを検討
  • ゴールドシルバー比率や産業需要、世界経済ニュースを参考に、割安と思われるタイミングで購入することで、将来的なリターン向上につなげることができます。
  • 積立投資を行う場合は、毎月一定額を購入することで、価格変動リスクを分散し、長期的な平均取得価格を平準化する効果が得られます。
  1. 注文方法
  • 成行注文では市場価格ですぐに購入できるため、スピーディーな投資判断に向いています。
  • 指値注文では希望価格に到達した場合のみ購入するため、価格コントロールを重視する場合に有効です。

4. リスク管理と注意点

  • 価格変動リスク
  • 銀は金よりも価格変動が大きく、短期売買では損失リスクが高いため、長期保有を前提に資産の一部として組み込むことが推奨されます。
  • 為替リスク
  • 米ドル建てETFを購入する場合、円ドル為替の影響を受けるため、為替変動による損益も考慮して購入計画を立てることが重要です。
  • 保管リスク
  • 現物の場合は盗難や紛失のリスクがあるため、安全な保管方法を確保することが資産保全の観点から必須です。

5. 投資戦略の具体例

  • 長期保有型
  • 国内銀ETF(1540)や現物を毎月一定額購入し、価格変動を気にせず長期で保有することで、インフレヘッジやポートフォリオ分散の効果を最大化できます。
  • 短期売買型
  • SLVなど米国ETFを用い、チャート分析やゴールドシルバー比率を参考に短期売買を行い、価格上昇局面で利益確定する戦略です。損切りルールや資金管理を厳格に設定することが必須です。
  • 現物+ETF併用型
  • 長期保有は現物で行い、短期的なリターンや流動性確保はETFで補うことで、リスク分散と柔軟な売買を両立できます。

まとめ

第1回目では、銀市場に初めて投資する方に向けて、今、なぜ銀なのかという背景説明に加え、具体的な現物・ETFの購入手順やおすすめ銘柄、リスク管理や投資戦略まで詳しく解説しました。次回以降は、ゴールドシルバー比率を活用した買い時の見極め方や積立投資シミュレーションなど、より実践的な内容を深掘りしていきます。