※本記事は教育・学習を目的とした占星術の入門解説です。科学的な未来予測ではなく、人生や人間関係を振り返るための思索ツールとしてご利用ください。最終的な判断は必ずご自身の責任にてお願いいたします。
はじめに ― なぜトランジットで相性を見るのか?
これまでの連載では、個人ホロスコープ → シナストリー(相性) → コンポジット → ダヴィソンと進み、人間関係を多面的に理解する基盤を築いてきました。
しかし、相性図は「固定された関係のテーマ」を示すに過ぎません。
では、二人の関係が「いつ動き出すのか」「どのような出来事が起こるのか」 を知るにはどうすればよいのでしょうか?
その答えの一つが トランジット(経過の星の動き)を用いた予測 です。
本記事では、二人の関係に影響を与えるトランジットの読み方を、基礎から実例まで解説いたします。
第1章:トランジットとは何か
1-1. 定義
トランジットとは、現在の天体の運行位置を指します。
たとえば今日の空における太陽が乙女座23度にあるとすれば、それが「太陽トランジット」です。
1-2. 相性占星術におけるトランジット
- 個人に作用するトランジット:個人ホロスコープに影響を与える
- 二人の関係に作用するトランジット:コンポジットやダヴィソンに影響を与える
つまり、「どんな時期に出会うか」「どんな時期に結婚が決まりやすいか」といった傾向を、天体の動きから探ることが可能です。
第2章:コンポジットへのトランジット
2-1. 基本的な考え方
コンポジットチャートは二人の心理的テーマを象徴しています。
そこにトランジット天体が重なると「関係の心理的テーマが動き出す」ことを意味します。
2-2. 代表的な解釈例
- トランジット土星がコンポジット太陽に合
→ 関係に責任や制約、現実的課題が浮上 - トランジット木星がコンポジット金星に合
→ 恋愛関係が発展、共通の楽しみや祝福が増える - トランジット天王星がコンポジット月にスクエア
→ 感情の急激な変化、距離の取り方の見直し
2-3. 長期的影響
- 土星・天王星・海王星・冥王星 → 関係に深い影響を与える
- 木星 → 短期的な幸運や広がり
- 火星・太陽 → 具体的な行動や出来事を引き起こす
第3章:ダヴィソンへのトランジット
3-1. ダヴィソンとイベント予測
ダヴィソンチャートは「関係が現実に誕生した瞬間」を示します。
そこにトランジットを重ねることで、二人の関係における具体的な出来事のタイミングを読むことができます。
3-2. 具体的事例
- トランジット木星がダヴィソン7ハウスを通過
→ 結婚、パートナーシップの正式化 - トランジット土星がダヴィソン4ハウスに合
→ 家庭や同居に関する現実的課題 - トランジット冥王星がダヴィソン月に合
→ 感情的に強烈な転機(同居・別離・大きな決断)
3-3. コンポジットとの違い
- コンポジット+トランジット → 心理的影響の強調
- ダヴィソン+トランジット → 現実的出来事のタイミング
⚖️ 第4章:シナストリーとの組み合わせ
4-1. 個人×個人
二人の出生図の相性(シナストリー)は、「基本的な相性の質」を示します。
4-2. シナストリー+トランジット
- 二人の間に流れる空気感を「その時期どう変化させるか」を読む
- 例:二人の金星・火星アスペクトがある時に、トランジット木星が刺激すると恋愛が進展しやすい
第5章:ケーススタディ ― 仮想カップル
5-1. データ設定
- Aさん:1990年4月1日 12:00 東京
- Bさん:1992年8月15日 18:00 東京
5-2. コンポジットチャート
- 太陽:獅子座 → 「創造的・自己表現のテーマ」
- 月:蠍座 → 「感情の深さ・独占」
5-3. ダヴィソンチャート
- 太陽:蟹座 → 「家庭や安心感が中心」
- 月:天秤座 → 「調和・平等が課題」
5-4. トランジット分析
- 2026年春、木星がコンポジット金星を通過 → 恋愛の進展・結婚話の浮上
- 同時期、土星がダヴィソン4ハウスに合 → 住居問題や家族の責任が浮上
5-5. 解釈
→ 心理的には愛が深まるが、現実的には家庭の課題が同時に現れる時期と読むことができる。
第6章:実践ステップ
- 二人のコンポジット・ダヴィソンを作成
- トランジットの現在位置を確認
- 重要なアスペクト(0度・90度・180度)を優先的に読む
- 木星 → チャンス
土星 → 課題
天王星 → 変化
海王星 →理想/混乱
冥王星 → 強制的変化
第7章:応用テクニック
- プログレス+トランジット+ダヴィソン
→ 結婚の時期予測などに用いられる - シナストリーに対するトランジット
→ 「二人の相性のどの部分が今動いているか」を理解
✨ 第8章:まとめ
- トランジットは「関係に時間的な動きを与える」
- コンポジットは心理テーマ、ダヴィソンは現実イベントを反映
- 両者を組み合わせることで、恋愛・結婚・仕事関係のタイミングが立体的に理解可能
- 最終的には「自己成長・自己理解」に役立てることが最も重要
次回(第15回)は、プログレスを用いた相性の成長予測 をテーマに掘り下げます。
※本記事は教育・学習を目的とした占星術の入門解説です。科学的な未来予測ではなく、人生や人間関係を振り返るための思索ツールとしてご利用ください。最終的な判断は必ずご自身の責任にてお願いいたします。