── 臨床現場で「本当に困る瞬間」を見てきた立場から ──
「万が一のために保険に入っているのに、いざという時に使えない」
これは、医療現場で患者さんから実際によく聞く言葉です。
私は医師として、病気そのものだけでなく
病気になった“その後の生活”を数多く見てきました。
その立場から断言できることがあります。
死亡よりも、「生きているのに働けない期間」のほうが
はるかに現実的で、しかも長く続きやすい。
この事実を踏まえると、
収入保障保険と所得保障保険の違いは、単なる保険知識ではなく
「人生設計そのもの」に直結する問題になります。
医療現場で頻繁に目にする「想定外」
多くの方は、無意識のうちにこう考えています。
- 大きな病気 → 回復するか、亡くなるかのどちらか
- 治療が終われば、元の生活に戻れる
しかし、臨床現場の現実は違います。
- がん治療後、体力が戻らずフルタイム復帰できない
- 脳血管障害後、高次脳機能障害が残る
- うつ病や適応障害で、復職と休職を繰り返す
- 慢性疼痛や自己免疫疾患で、就労制限が長期化する
命は助かっている。
けれど「以前と同じようには働けない」。
このグレーゾーンの期間こそ、生活が最も苦しくなります。
収入保障保険とは何を守る保険か
収入保障保険は、
被保険者が死亡または高度障害状態になった場合に、
遺された家族へ毎月一定額を支払う生命保険です。
医師の視点で整理すると、
これは次のような保険です。
- 自分が「存在しない世界」の生活費を守る
- 遺族の家計を合理的に支える
- 教育費・生活費のベースを作る
医師から見たメリット
- 支払事由が明確(判断がシンプル)
- コストパフォーマンスが高い
- 家族の生活設計が立てやすい
注意点
- 病気療養中・休職中では基本的に支払われない
- 「生きているが働けない」状態は対象外
つまり、
家族保障には強いが、治療中の自分は守らない
それが収入保障保険です。
所得保障保険とは何を守る保険か
所得保障保険は、
病気やケガで一定期間働けなくなった場合に、
毎月の生活費を補う保険です。
医師として実感するのは、
こちらのほうが「臨床現場で出番が多い」という事実です。
医師視点で重要なポイント
- 生存中に給付される
- 就業不能の期間を支える
- 精神疾患が対象になる商品も存在
- 社会復帰までの“空白期間”を埋める
特に精神科領域では、
- 命に別状はない
- しかし就労は困難
という状態が、年単位で続くことも珍しくありません。
このとき最も問題になるのは、
治療費よりも生活費そのものです。
一目で分かる違い(医師視点)
| 項目 | 収入保障保険 | 所得保障保険 |
|---|---|---|
| 守るリスク | 死亡・高度障害 | 病気・ケガによる就業不能 |
| 給付タイミング | 死亡後 | 生存中 |
| 主な目的 | 遺族の生活費 | 本人の生活費 |
| 医療現場での出番 | 限定的 | 非常に多い |
医師が考える「本当のリスク順」
臨床感覚と現実的な確率を合わせると、
リスクの優先順位は次の通りです。
- 長期の就業不能
- 短期の就業不能
- 死亡
つまり、
収入保障保険だけでは足りないケースが多い
というのが、医師としての率直な実感です。
医師として勧める現実的な考え方
- 扶養家族がいる → 収入保障保険は必須
- 自分が働けなくなる不安 → 所得保障保険を検討
- 可能なら両者を役割分担で持つ
これは「保険を増やす話」ではありません。
治療中に、
- 生活が立ち行かず
- 早期復職を焦り
- 病状を悪化させる
そうした患者さんを何度も見てきたからこその結論です。
医療現場でよくある誤解
- 「治ればすぐ働ける」
→ 医学的治癒と社会復帰は別です - 「公的保障があるから安心」
→ 傷病手当金には期限があります - 「若いから関係ない」
→ 精神疾患や自己免疫疾患は年齢を選びません
まとめ(医師の本音)
- 収入保障保険は「死後の家族」を守る
- 所得保障保険は「生きている自分」を守る
- 医療現場では後者の重要性が年々増している
- 最適解はライフステージによって変わる
保険は金融商品ですが、
その先にあるのは 「治療を続けられるかどうか」 という現実です。
この記事が、
あなたやご家族の将来の選択肢を減らさないための
判断材料になれば幸いです。